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配偶者ビザが不許可になる理由 ~収入に関すること~

1.配偶者ビザが不許可になる理由(収入に関すること) 本ページでは,配偶者ビザの収入などの経済基盤に関して,不許可となる主な理由を記載していきます。 全ての事例を本ページに記載することは困難なため,以下の内容はあくまでも不許可類型の一例としてご覧下さい。 ①安定した収入がない 配偶者ビザの許可を取得するためには,ご夫婦で生活ができるだけの安定収入が必要となります。そのため,仮にご夫婦での生活が困窮する可能性があるような収入状況の場合には,配偶者ビザが不許可となる可能性は高くなります。 これと同趣旨の考え方は,入管法第5条第1項3号の上陸の拒否に記載があります。 参考条文:入管法第5条第1項3号 (上陸の拒否) 第5条 次の各号のいずれかに該当する外国人は,本邦に上陸することができない。 ③貧困者,放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者 つまり,入管法第5条第1項3号は,生活保護などを受ける可能性の高い外国人については,公共の負担の増加を防止するため,日本への入国は認めず,不許可とすることがあり得るとしています。 配偶者ビザの審査についても同様に,ご夫婦での収入状況が厳しく審査されます。具体的な収入金額については法的な定めはなく,扶養家族の状況,生活状況,雇用の安定性などを総合勘案し,決定されることになっています。 ②雇用形態が不安定 一般的に雇用形態には,正社員,派遣社員,パートタイム労働者,短期間正社員など様々な形態があります。 配偶者ビザの入管審査において,雇用形態は安定した収入状況を示す重要な要素となります。 例えばアルバイトの場合には,正社員の方に比べて,収入の安定性が劣ります。また,勤務年数なども,安定的な収入状況を示す重要な審査ポイントになります。 そのため,勤務年数が少ない場合やアルバイトでの勤務の方の場合には,通常よりも収入状況の立証は慎重におこなう必要があります。 ③所得課税証明書が提出できない 所得課税証明書が提出できない理由として,前年度無職であった場合,あるいは日本人配偶者が外国で仕事に就いていた場合などが考えられます。 まず,前年度無職であった場合には,その年齢によって入管の判断は異なるという心証を抱いています。例えば,日本居住の稼働年齢にある夫について,前年度の所得課税証明書が発行されない場合には,消極的に審査をされる可能性があります。 仮に体調不良や特別な事情があり無職であった場合には,その理由を明らかにすることに加え,今後どのように生活をしていくのかを明確にすることが必要となります。 次に,海外出向などを理由として,日本人配偶者が外国で仕事に就いていた場合には,海外の所得状況を示すと共に,上記同様,今後の日本での収入状況を示す必要があります。 したがって,いずれのケースについても,何らのケアをすることなく配偶者ビザを申請することは危険が伴いますので,今後の生活状況を示すことはもとより,所得課税証明書が提出できない理由を明らかにすることが重要になってきます。 ④税金の滞納や未納がある 配偶者ビザを申請する際には,入管へ住民税の納税証明書を提出する必要があります。 納税証明書において,滞納がある場合には未納額としてその旨と金額が記載されます。税金の滞納がある場合には,配偶者ビザの審査において,生活基盤に問題があると判断され,不許可になってしまう場合があります。 ⑤年金や健康保険に未加入である 2020年の段階では,仮に年金や健康保険が未加入であったとしても,それのみで配偶者ビザが不許可となる運用ではありません。 もっとも,永住ビザ申請や帰化申請では,年金,健康保険はいずれも審査事項となっていることから,配偶者ビザの審査運用も変更される可能性は十分にあります。また,年金,健康保険は,国民年金法や健康保険法で加入義務が課されています。 そのため,配偶者ビザの審査に関わらず,年金や健康保険には加入していただくことを当社ではお勧めしています。 2.まとめ ~配偶者ビザ収入編~ 本ページでは,収入などの経済基盤を理由として,配偶者ビザが不許可になってしまうケースを見てきました。 収入が少ないケースや所得課税証明書が提出できないケースは,ご夫婦によってその事情は様々です。 そのため,この書面を提出していれば問題はない!というような,一義的な回答があるわけではなく,ご夫婦の事情によって,その立証方法は異なるのが入管実務です。 配偶者ビザの申請について,何の書類を提出すれば良いかとお尋ねをいただく事がありますが,これまで見てきたとおり,形式的にどの書類を提出するかより,提出する書類の“中身”が重要になってきます。 所得課税証明書や納税証明書,また在職証明書や雇用契約書から,入管は配偶者ビザの審査をおこなっています。 少しでも配偶者ビザの申請にご不安のある方,確実に配偶者ビザを取得されたい方は,ぜひ当社の無料相談のご利用を検討してみてください。…

配偶者ビザが不許可になる理由 ~婚姻実体に関すること~

1.配偶者ビザが不許可になる理由(婚姻実体に関すること) ここでは,配偶者ビザの婚姻実体に関して,不許可になってしまう主な理由を記載していきます。 全ての事例を本ページに記載することは困難なため,以下の内容はあくまでも不許可類型の一例としてご覧下さい。 ① 交際期間が短い 配偶者ビザを取得するためには,交際を経て,その関係が結婚にまで昇華したということを書面で立証していく必要があります。 自分たちは偽装結婚ではないから大丈夫!と考えられる方も多いのですが,交際期間が短い場合には,入管からあらぬ嫌疑を抱かれ,配偶者ビザが不許可になってしまうケースもあります。 では,どれくらいの交際期間が適正なのかという問いには,仮に身近なご友人やお子様が国際結婚をする場合,その交際期間で結婚をして大丈夫?と不安を感じるような場合には,配偶者ビザの不許可リスクは高まるとお考え下さい。 上記の場合には,通常よりも高度な婚姻実体の立証が必要となります。 ②年齢差が大きい 本来は,愛があれば年の差なんて関係はないのですが,年の差婚の場合,類型的に見ると日本人側が騙されてしまっている場合があり,入管もそういった事例を認識しています。そのため,年の差婚で配偶者ビザを取得するためには,通常よりも慎重かつ丁寧な書面を作成し,夫婦としての実体を立証する必要があります。 ③コミュニケーションが取れていない 近時の配偶者ビザの審査で,入管が特に気にしているのが夫婦のコミュニケーションです。というのも,アプリを使ってコミュニケーションを図るケースや通訳者が別にいるケースは,夫婦のコミュニケーション不足から起きるトラブルも少なくないからです。 配偶者ビザの許否に関わらず,夫婦共通のコミュニケーション言語を持つことは,今後の夫婦関係はもちろんのこと,外国人配偶者の日本での生活を考えると非常に重要です。 ④親族が国際結婚をしたことを知らない 親,兄弟姉妹など,親族が結婚した事実を知らない場合には注意が必要です。実際,入管に提出する質問書という書類でも,親族が結婚の事実を知っているか否かは問われており,婚姻実体の信憑性を左右する一つの要素になっています。 そのため,両親に結婚を反対されていながらも結婚をしたケースなどでは,その経緯を丁寧に説明し,その他の婚姻実体の立証に注力することによって,真正婚であることを明らかにしていく必要があります。 ⑤一方の国でしか結婚をしていない 国際結婚は,当事者の双方の国籍国での手続きが完了していなければなりません。そのため,一方国でのみ結婚を成立させた状態では,完全には国際結婚手続きを履践したということは出来ず,婚姻の信憑性の判断において,消極的な事由となる可能性があります。 「法務省における法令適用事前確認手続」(※注1)によれば,一方の国でしか結婚をしていない場合は,配偶者ビザが必ず不許可になるとは記載していないものの,相手国の婚姻証明書が提出されないことに起因して,婚姻実体の立証が不十分となることはあり得るとしています。 (※注1)法令適用事前確認手続とは,民間企業等が,実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して,その行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかをあらかじめその規定を所管する行政機関に確認し,その機関が回答を行うとともに,その回答を公表するものです(出典:法務省における法令適用事前確認手続~法務省におけるノーアクションレター制度について~)。 ●リンク先URL http://www.moj.go.jp/hisho/shomu/kanbou_jizen_jizen01.html ⑥交際期間が前婚と重なっている 入管審査は,警察と同じく民事不介入であるため,たとえ交際期間が前婚と重なっている場合でも,配偶者ビザの審査上は問題ないとも考えられます。 確かに,入管の審査は,不貞行為の有無を明らかにする事を目的にするものではありません。しかし,社会通念で判断する入管審査においては,前婚期間中の交際は,信憑性がないと判断される可能性があります。 そのため,仮に前婚の婚姻関係が実質的に破綻をしていたのであればその具体的事実を,また前婚が破綻はしていなかった場合であっても,どのような経緯で交際を開始し,前婚が離婚に至り,そして再婚にまで至ったのかを明らかにする必要があります。 ⑦インターネットで出会っている 情報通信網の発達もあり,国際結婚の局面においても,出会いの形は多様化しています。それに伴い,偽装結婚の手口も,複雑かつ巧妙化しているのが現状です。 これらの状況に鑑み,出会いの経緯については,入管は特に慎重な審査をしています。インターネットで男女が出会うことは決して悪いことではありませんが,入管審査では通常よりも高いレベルで,婚姻に至るまでの経緯を明確にする必要があります。 ⑧結婚紹介所を介して出会っている 上記のインターネットで出会っている場合と同様,結婚紹介所を介して出会っている場合も婚姻実体に嫌疑を抱かれやすい一類型と言えます。また,日本人側の婚姻意思が明らかであったとしても,外国人の方が国際結婚を配偶者ビザ取得のための便法としていることもあるため,注意が必要です。 結婚紹介所を介して出会っている場合には,それぞれについて,なぜ結婚紹介所に登録するに至ったかなどを赤裸々に説明すると共に,二人の交際実体を明らかにしていく必要があります。 ⑨ビザの期限直前に結婚をしている 例えば,就労ビザを保有する外国人が離職中でビザの期限が迫っている場合や,留学ビザを保有する外国人が退学や卒業をして,次の進路が決まっていない状態でビザの期限が迫っている場合等は,注意を要します。 その理由としては,日本に滞在を続ける理由として,配偶者ビザを申請していると見られてしまう可能性があるため,通常に比べると配偶者ビザの審査が難化する傾向にあるからです。 このような場合には,就労ビザや留学ビザの活動が離脱するに至った経緯を説明することはもとより,ご夫婦の婚姻実体の立証を慎重におこなう必要があります。 ⑩結婚をしてから相当期間経っている 例えば,7年前に国際結婚をした配偶者を呼びたい,そのようなケースが該当します。 様々な事情があり,配偶者の招聘に時間が掛かったものと予想はされますが,なぜ時間が掛かったのかを明らかにし,加えて7年間の空白期間について,ご夫婦の交流状況を明らかにする必要があります。…

入管法の上陸拒否事由とは?

1.上陸拒否とは? どのような外国人を入国させるかということについては,各主権国家において決定することが国際法上,確立した原則となっています。つまり,日本にとって好ましくない外国人の入国を拒否したり又は一定の要件を備えている方のみ入国を許容することは,国際法上認められているのです。 日本においても,公衆衛生,公の秩序,国内の治安等,日本の国益を守る観点から,入管法第5条において上陸拒否の事由を定めています。 2.上陸拒否事由について(第1項) 入管法第5条第1項では,1号から14号の上陸拒否事由を定めています。そして,いずれかの上陸拒否事由に該当すれば,日本へ上陸することが出来ない旨を規定しています。 それでは,具体的に入管法第5条の上陸拒否事由をみていきましょう。 ①感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)に定める一類感染症,二類感染症,新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症(同法第七条の規定に基づき,政令で定めるところにより,同法第十九条又は第二十条の規定を準用するものに限る。)の患者(同法第八条(同法第七条において準用する場合を含む。)の規定により一類感染症,二類感染症,新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症の患者とみなされる者を含む。)又は新感染症の所見がある者 感染予防法の目的に鑑み,日本に病原菌等の侵入を防ぐことを目的として,上陸拒否者として規定されています。 ②精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者で,本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの 従前は,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に定める精神障害者の方を上陸拒否にしていました。しかし,一律の規定では障害者の方の社会活動を阻害してしまうケースも想定されることから,本号の見直しを行い,「本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの」として,一定の要件のもと上陸拒否になることを定めたものです。 ③貧困者,放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者 外国から日本での援助を期待する外国人の入国が増加すれば,日本の財政上の観点からも問題が生じます。そのため本号は,国,地方公共団体の福祉負担を受けるおそれのある外国人の増加を防止するために設けられました。 ④日本国又は日本国以外の国の法令に違反して,一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし,政治犯罪により刑に処せられた者は,この限りでない。 実務上,ご質問が多く,上陸拒否の事案としてご相談が多いのが本号です。本号は,日本の法令のみならず,外国の法令に違反した場合にも該当します。また,執行猶予付きの有罪判決を受けた場合であっても,一年以上の懲役若しくは禁錮の刑が確定した段階で,本号に該当することになります。さらに本号は,時の経過を考慮せず,一年以上の懲役若しくは禁錮の刑を受けていれば該当するため,本号該当者を長期拒否事由該当者,永久拒否事由該当者などと言います。 ⑤麻薬,大麻,あへん,覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者 薬物事犯に関与して刑に処せられた外国人の上陸拒否事由が本号です。4号同様,本号は,日本の法令のみならず,外国の法令に違反した場合にも該当することになります。4号と異なるのは,刑の軽重による制限はなく,薬物事犯に関与して刑に処せられた場合には上陸拒否者に該当する点です。薬物事犯については,流入防止の観点,組織犯罪防止の観点から,上陸拒否事由の中でも厳格な運用がなされています。   5-2 国際的規模若しくはこれに準ずる規模で開催される競技会若しくは国際的規模で開催される会議(以下「国際競技会等」という。)の経過若しくは結果に関連して,又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて,人を殺傷し,人に暴行を加え,人を脅迫し,又は建造物その他の物を損壊したことにより,日本国若しくは日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられ,又は出入国管理及び難民認定法の規定により本邦からの退去を強制され,若しくは日本国以外の国の法令の規定によりその国から退去させられた者であつて,本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して,又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて,当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村(特別区を含むものとし,地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては,区又は総合区)の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において,人を殺傷し,人に暴行を加え,人を脅迫し,又は建造物その他の物を損壊するおそれのあるもの 2001年の入管法改正によって新設された規定です。ワールドカップなどの国際的な競技会や首脳会談や閣僚会議等において,暴行事件等を行うおそれのある外国人の上陸拒否を定めたのが本号です。 ⑥麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)に定める麻薬若しくは向精神薬,大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)に定める大麻,あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)に定めるけし,あへん若しくはけしがら,覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)に定める覚せい剤若しくは覚せい剤原料又はあへん煙を吸食する器具を不法に所持する者 5号と同様に,薬物の流入防止の観点から,日本における薬物汚染を未然に防ぐために設けられました。本号は,刑に処せられたか否かは問わず,入国審査官が独自に本号の該当者と認定すれば,上陸拒否の措置がとられることになります。 ⑦売春又はその周旋,勧誘,その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者(人身取引等により他人の支配下に置かれていた者が当該業務に従事した場合を除く。) 本号は,外国人による売春関係の行為を防止する観点で設けられた上陸拒否事由です。売春業務従事者の上陸を拒否する趣旨から,現に売春行為を行った者のみならず,勧誘や場所提供などを行った者についても上陸拒否者として規定しています。   7-2 人身取引等を行い,唆し,又はこれを助けた者 従前本号の規定がなく,人身取引等の加害者については,人身取引等を直接の理由として,上陸拒否者の対象とすることが出来ませんでした。そのため,人身取引の防止を目的として,平成17年の改正により設けられた規定です。 ⑧銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)に定める銃砲若しくは刀剣類又は火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)に定める火薬類を不法に所持する者 銃砲刀剣類等,人に危害を加える危険物を不法に所持する外国人の上陸拒否を定める規定です。 ⑨次のイからニまでに掲げる者で,それぞれ当該イからニまでに定める期間を経過していないもの イ 第六号又は前号の規定に該当して上陸を拒否された者 拒否された日から一年 ロ 第二十四条各号(第四号オからヨまで及び第四号の三を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者で,その退去の日前に本邦からの退去を強制されたこと及び第五十五条の三第一項の規定による出国命令により出国したことのないもの 退去した日から五年 ハ 第二十四条各号(第四号オからヨまで及び第四号の三を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者(ロに掲げる者を除く。) 退去した日から十年…

日本人と外国人が国際結婚した際の名前(氏)について

1.国際結婚の氏は日本人同士の結婚の場合とは違う!? 別氏のまま婚姻することを選択できる選択的夫婦別姓制度の導入の是非が議論されていますが,現在は民法第750条の規定によって,夫婦同姓が原則となっています。 ○民法第750条 夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称する。 ところが,国際結婚となれば事情が少々異なります。なぜなら,戸籍実務において,国際結婚(夫婦の一方が外国人の場合)の場合には,氏は夫婦それぞれに関する問題と考えられており(これを「氏名権」と言ったりします。),当事者の本国法によって判断すべきとされているからです。 そうすると,日本人の氏については,「夫又は妻の氏を称する。」(民法第750条)ことになりそうですが,この民法第750条の対象は,その立法趣旨から,日本人同士の婚姻のみであり,外国人・日本人間の婚姻には適用されず,日本人の氏は変わらないとされています(『国際関係私法入門<第3版>』」松岡博著)。 したがって,国際結婚の場合には,夫婦別姓が原則と考えられています。 2.夫婦同姓にする方法 上記1で記載したとおり,国際結婚の場合には夫婦別姓が原則となるところ,夫婦同姓を希望する場合には,別に手続きをとる必要があります。 以下,外国人と日本人が国際結婚をして,①日本人が外国人の氏を名乗るケース,②外国人が日本人の氏を名乗るケースを順に見ていきます。 よく似ている内容に思われますが,外国人,日本人のいずれの氏を称するかによって,手続きが全く異なりますので,注意しながら読んでください。 3.日本人が外国人の氏を名乗るケース 日本人と外国人が国際結婚しても,日本人の氏が変わらない事は上記1のとおりですが,ここでは,外国人と日本人が国際結婚をして日本人が「外国人」の氏に変更する方法を見ていきます。 まずは,根拠となる条文を見てみましょう。 ○戸籍法第107条第2項 外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは,その者は,その婚姻の日から六箇月以内に限り,家庭裁判所の許可を得ないで,その旨を届け出ることができる。 この規定によって,戸籍法第107条第2項の届出(「外国人との婚姻による氏の変更届」と言います。)をすれば,外国人配偶者と同じ氏とする事が出来ます。 ここで注意をしていただきたいのは,戸籍法第107条第2項の届出によってはじめて効力が生じるという点です。この点,とても誤解が多いので注意をして下さい。 そのため,たとえ婚姻届の「婚姻後の夫婦の氏」の欄で記載をしたとしても,この記載には効力がないとされています(昭和26・12・28民事甲2424号回答)。 4.外国人が日本人の氏を名乗るケース 次は,上記(3)の逆のバージョンである外国人と日本人が国際結婚をして,外国人が「日本人」の氏に変更するケースを見ていきましょう。 実は,この場合について,戸籍法上の根拠規定はありません。というのも,先に説明したとおり,氏名権は本国法によることとされているため,外国人の氏を日本の法律で規律する権限がないためです。 氏の制度は国によって異なり,韓国やベトナムのように夫婦別姓を採用している国,北欧諸国のように選択的夫婦別姓を採用している国,自己の氏と配偶者の氏を合わせた複合氏を名乗ることができる国もあります。 夫婦別姓を採用している国の場合は,そもそも婚姻によって氏を変更する概念も制度も存在しないため,日本人と結婚をしたとしても,日本人の氏に変更できないのが一般です。 他方,婚姻によって氏を変更することができる国は,その国の手続きに従って氏を変更することができます。 本国法に従って外国人が日本人の氏に変更したとしても,日本人の戸籍には婚姻前の外国人氏名が婚姻欄に記載されたままになっています。この場合,戸籍の記載事項を変更する旨の申出書を市区町村役場に提出することによって,戸籍を訂正することができます。 昭和55・8・27民二5218号通達に,関連する記載がありますのでご紹介します。 上記の通達を要約すると,外国人と日本人が国際結婚をして外国人が日本人の氏に変更をした場合には,外国人配偶者の本国における権限を有する役所が発行した氏の変更が明らかな身分証明書を市区町村役場に日本人配偶者が提出し,その変更を申出することによって,外国人配偶者の氏を変更することができるとされています。 ここで,外国人配偶者の本国における権限を有する役所が発行した氏の変更が明らかな身分証明書について,どのような書面が該当するのかというご質問を受けることがあります。 原則論でいえば,外国人配偶者の変更前,変更後の氏,また変更原因,日付が記載されている外国人配偶者の本国発行の書面が該当します。一方,氏の変更に関する証明書が外国人配偶者の本国で取得できない場合には,変更した氏の記載のある外国人配偶者のパスポートコピーをもって,変更を証する書面とみなして戸籍の記載をして差し支えないものとされています(昭和55・9・11民二5397号回答)。 実際に当社で対応をしたケースにおいても,多くの役所で外国人配偶者の変更後の氏が記載されたパスポートで手続きをする事が出来ています。 ※必要書類についての詳細は,提出予定の市区町村役場に念のため事前にお問い合わせ下さい。 5.まとめ 今回は,日本人と外国人が国際結婚をした場合の氏にフォーカスしました。ご理解いただけましたでしょうか。 国際結婚をされる方の多くは,婚姻要件具備証明書の取得方法や配偶者ビザの事で頭がいっぱいで,ご結婚後の氏の事まで検討できていなかったというお声をよく耳にします。しかし,実際に生活をすることを考えると,お名前はとても大切な事項の一つです。 当社が国際結婚をお手伝いさせていただく際には,結婚後の生活まで想定したサポートを心がけております。…

出国命令制度とは?

1.出国命令制度とは? 出国命令制度とは,平成16年の入管法改正に伴い創設された制度で,不法残留者のうち一定の要件を満たす外国人について,入管法に定める退去強制手続きによらず,出国を命ずることが出来る制度です。 出国命令対象者に認定されれば, ①法的に身柄収容をされないこと ②簡易な手続きで出国できること ③上陸拒否期間が1年になること というメリットを享受することが出来ます。 出国命令制度は,不法滞在者の迅速,効率的な出国を促す制度です。 そのため,出国命令対象者に認定されれば,多くのメリットが用意されています。 それでは,下記において出国命令制度の詳細を見ていきましょう。 2.出国命令対象者になるには? 出国命令の対象者は,下記の全ての要件を満たす外国人とされています。 ①速やかに日本から出国する意思をもって,自ら入国管理官署に出頭したこと。 ②不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと。 ③入国後に窃盗罪等の所定の罪により懲役又は禁錮に処せられていないこと。 ④過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと。 ⑤速やかに日本から出国することが確実と見込まれること。 (1)①速やかに日本から出国する意思をもって,自ら入国管理官署に出頭したこと。 出国命令対象者の認定を受けるためには,自ら入管に出頭する(出頭申告と言います。)必要があります。したがって,入管や警察から摘発された場合には,出頭申告とは見られず,出国命令対象者になりません。 また,速やかに日本から出国する意思が必要であることから,在留特別許可を求めて出頭申告した場合にも,出国命令制度の対象者とはなりません。 (2)②不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと。 出国命令対象者は,いわゆるオーバーステイで日本に滞在している外国人に限定されています。 具体的には, ・入管法第24条2号の3(在留資格取消後の猶予期間経過) ・入管法第24条4号(在留期間経過) ・入管法第24条6号(特例上陸の期間経過) ・入管法第24条7号(在留資格取得未了の場合の在留期間経過) のいずれかに該当する場合です。 そのため,不法上陸事案,刑事処分を受けた事案などは出国命令制度の対象にはなりません。 (3)③入国後に窃盗罪等の所定の罪により懲役又は禁錮に処せられていないこと。 日本へ入国後,下記の罪により懲役又は禁錮に処せられた場合には,出国命令制度の対象者にはなりません。 刑法第二編 ・第十二章 住居侵入等 ・第十六章から第十九章まで 通貨偽造等,文書偽造等,有価証券偽造等,支払用カード電磁的記録不正作出等,印章偽造等 ・第二十三章 賭博等 ・第二十六章 殺人等…

【解決事例】留学生と国際結婚して配偶者ビザを取得する方法

1.はじめに 2008年,当時日本の首相であった福田康夫氏が「留学生30万人計画」を発表し,目標の2020年より前倒しで目標達成を果たすほど,留学生の増加は顕著です。そして,留学生の増加に伴い,留学生と国際結婚をされる方も増えています。 本記事は,増加傾向にある留学生との国際結婚をした事案ですが,今回の事案で特に注意すべきポイントを中心に以下で見ていきます。 2.留学の在留資格を知る 留学ビザは,簡単に説明すると「本邦の指定する教育機関において教育を受ける活動」をするためのビザです。つまり,教育を受ける活動をしていなければ,留学ビザの在留資格該当性は無いと判断されます。 留学ビザから他のビザに変更する際にも,留学ビザに該当する活動を行っていたかを審査されます。そのため,配偶者ビザへの変更許可申請を進めていく上で,一方配偶者である留学生がしっかり教育を受ける活動をしているかどうかを判断することは非常に重要です。 では,出入国在留管理局では「教育を受ける活動」をどういう視点で見ているのでしょうか。 3.出席率や成績,アルバイトも配偶者ビザ変更に関係がある 留学ビザの在留資格該当性を判断する指標として, ①出席率 ②成績 ③アルバイト 以上の3点を検証することはとても重要です。 留学生が学校に行っていない場合や留年をしている場合には,配偶者ビザへの変更の際,「単に日本に残るために,結婚したのではないか。」,「学校を辞めて日本で働きたいから配偶者ビザへ変更するのではないか。」と嫌疑を抱かれる可能性があります。 そのため当社では,進級あるいは卒業に必要な単位数と現在の単位数を照らし合わせ,検証をすることにしています。場合によっては,出席証明書や成績証明書に加えて,成績不良についての経緯説明書を添付し,事情を説明することもあります。 ①の出席率,②の成績については,一見すると配偶者ビザと直接関係がないように感じますが,留学ビザから配偶者ビザへ変更申請をする際には,欠かすことの出来ないポイントの一つになります。 次に,最近の傾向で重視されている点が③のアルバイトです。 留学生にとって,アルバイトは学費や生活費を得るための手段として認識されています。 もっとも,アルバイトに夢中になり,学業が疎かになってしまっては本末転倒です。そこで入管法では,留学生が学業とアルバイトの両立を図れるように,アルバイトに一定の制約を設けています。 実は留学ビザは,原則就労活動が認められていません。資格外活動許可を取得した場合に限り,法定時間内(原則週28時間以内)においてアルバイトに従事することを認められているに過ぎません。 それにも拘わらず,資格外活動許可を受けずにアルバイトをしている事例,資格外活動許可は受けてはいるものの,大幅に法定時間を超過してアルバイトをしている事例が散見されます。 そのため入管審査においても,資格外活動許可を得ていること,アルバイトの法定時間を遵守していることは,留学ビザから配偶者ビザへ変更申請する局面において注視されています。 4.計画的に進めなければ,配偶者ビザへの変更のリスクが高くなる さらに,留学ビザから配偶者ビザへの変更の場合,気を付けなければならないポイントがあります。 それは,教育機関に在籍しているかどうかという点です。既に学校を退学してしまい教育機関に在籍していない状態が一定期間続いていると,審査が厳しくなってしまいます。 上記の内容は,入管法第22条の4に定める在留資格の取消事由と関係します。留学ビザの場合は,留学の在留資格に係る活動を継続して3ヶ月以上行っていない場合,法務大臣はその在留資格を取り消すことができると入管法は定めています。 つまり,学校に行っていない状態が3ヶ月以上続く場合には,留学ビザが取り消される可能性があります。また,留学ビザが取り消されていない場合であっても,取消事由に該当するような申請については,消極的な事由として大きなマイナス点となります。 そのため,このような状況に陥ることがないように,計画的に配偶者ビザの申請準備をすることが肝要です。 5.今回の事例の結論は… 今回の事例では,Kさんは留学ビザの取消事由に該当していたため,不登校に至った経緯について丁寧に入管に説明をしました。また,その間の活動内容を具体的に示し,疎明資料と共に説明文を添付しました。 さらに,Kさんのアルバイト状況について,入管審査上,必要となる情報を全て提示しました。 一方,Jさんは新卒入社であったため,直近の所得課税証明書が非課税であり,収入の証明に不安を抱えていました。そこで,所得課税証明書の他に,申請段階でのJさんの安定所得を示す資料を提出しました。 その結果,申請から1ヶ月を待たずに,配偶者ビザへの許可通知書を受け取ることが出来ました。 6.まとめ 本ページでは,留学ビザから配偶者ビザへの変更をテーマに取り上げました。 上述の通り,留学生の場合は検討しなければならないポイントがたくさんあります。 これらは,配偶者ビザの許否判断をするにあたって,いずれも重視されている内容です。 留学生との国際結婚を考えている方,配偶者ビザへの変更を検討されている方は,まず上記のポイントに照らして,リスクの有無を確認してみてください。 配偶者ビザへの変更をご検討されている方で,これからどのように手続きを進めたらよいか不安がある場合は,一度当社までお問い合わせ下さい。 お話をお伺いし,最適な解決方法をご提案いたします。…

【解决事例】过去有拒签记录时的配偶者签证申请

1.理解入管法的规定 申请配偶者签证时。需要满足入管法的基准。 因此,大部分人首先都是在入管的官网进行查询。关于日本人配偶签证,入管法规定了以下规定。 “日本人的配偶或者特别养子或者作为日本人的孩子出生的人” 不少人都觉得入管法应该还有更具体的规定,但是实际上法律上所规定要件,就只有这一句话。也就是说,仅仅只是这一句话,是无法确认配偶者签证审查的重点。 那么,入管是以什么为基准来审查配偶者签证呢? 2.入管是如何审查的 在这里,我们来介绍入管的审查重点。 入管是根据相关法令,以及申请人提交的资料进行审查。此外,还有一个审查要领,按照审查要领来实施审查,通过统一的审查基准来进行审查的这样一个系统。 审查要领当中,有公开审查要领和非公开审查要领。 这个非公开审查要领当中,记载了大部分的配偶者签证的审查重点。 3.理解配偶者签证的审查重点 非公开的审查要领中,记载了哪些规定,即使有说明,非公开的审查要领也没有详细披露,只能通过标题来理解。 下面,是所记载的部分审查要领。 ・纳税证明书 ・质问书 ・证明交往经过,交流方法的材料 ・递交资料的追加请求 另外,在审查当中还需要留意的事项是, ・经费支付能力 ・收入金额 ・对公共的负担 等等,非公开审查要领种,还有许多预想的问题点。 留心这些重点的话,并且做好配偶者签证的申请准备工作,一般都不会漏掉需要注意的要点。 4.浑水摸鱼的配偶者签证申请是有风险的! 除了要理解公开审查的要领之外,还要理解非公开审查要领。 非公开审查要领当中都记载了什么,并且了解其审查要领,对申请配偶者签证来说是一个最便捷的方法。但是,一般不考虑多次申请配偶者签证。 委托国际业务专门的行政书士,最大的好处就是因为其丰富的经验。 仅仅只是入管官网所列出的材料,或者在以不同信息为前提参考网上的信息,而漏掉了需要关注的重点,没有考虑到应该要考虑的细节,反而增加了拒签的风险性。 提前了解配偶者签证的审查要点,在此之上进行申请是非常重要的。 5.配偶者签证申请被拒签的话… 要是配偶者签证被拒签的话,首先得要去入管确认拒签的理由。实际上,这也是我们事务所所采取的一种方法。确认配偶者签证不许可的理由,也是下一次申请当中的重要的一环。 向入管确认不许可理由时,需要携带以下资料。 ※需要本人确认,电话不能告知不许可理由。 ①不交付(不许可)的通知书 ②身份证明(日本人需要携带驾照,外国人需要携带在留卡,护照等) 并且,入管的开放时间为上午9点到下午4点。关于不许可理由的确认,基本不需要提前预约,详细请咨询管辖的入管。 6.入管会全部告知不许可的理由吗? 以下是摘自关于入国・在留处分的留意事项(法务省管在5964号,平成16年10月1日)。 “进行不利已处分时,需要明确指出哪些要求不符合法律要求。”…

【解決事例】不許可になった場合の配偶者ビザ申請

1.入管法の規定を知る 配偶者ビザの許可を取得するためには,入管が求める基準をクリアしなければなりません。そこで,多くの方がはじめに調べるのが,入管のホームページです。日本人の配偶者ビザについては,下記のように入管法で定まっています。 「日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者」 詳細な事項が入管法に定まっていると考えられている方も少なくありませんが,実は法定されている要件は,この一文だけです。つまり,入管法で定まっている規定を読んだだけでは,配偶者ビザの審査のポイントは見えてきません。 では,入管は何を基準に配偶者ビザの審査をしているのでしょうか。 2.入管はどのように審査をしているの? ここでは,入管がどのような基準で配偶者ビザを審査しているかご紹介します。 入管は,関係法令をはじめ,申請人から提出された資料に沿って審査を行います。また,審査要領というものがあり,審査要領に沿った審査を実施することで,統一された基準で審査が出来るような体制をとっています。 審査要領には,公開されているものと公開されていないものがあり,公開審査要領と非公開審査要領とがあります。 この非公開審査要領に,配偶者ビザの多くの審査ポイントが記載されています。 3.配偶者ビザの審査ポイントを知る 非公開審査要領には,どのような事項が記載されているのでしょうか。記載といっても,非公開審査要領は墨塗りされているので,タイトルからしか読み解くことが出来ません。 以下に,審査のポイントと書かれた項目を一部記載します。 ・納税証明書 ・質問書 ・交際,交流に関する立証資料 ・提出資料の追加請求 その他に,審査に当たってのその他の留意事項として, ・経費支弁能力について ・収入金額について ・公共の負担の考え方について など,非公開審査要領には,想定される問題点が多く定まっています。 これらのポイントを意識しながら,配偶者ビザの申請準備が出来れば,見るべきポイントを落とすという事は通常ありません。 4.当てずっぽうに配偶者ビザを申請するのはリスク大! 公開審査要領をはじめ,非公開審査要領を読み解くことが,問題解決の糸口となることはご理解いただけましたでしょうか。 非公開審査要領に何が書いてあるか,またその審査ポイントを知るには,多くの配偶者ビザ申請に携わることが最も近道です。しかし,一般の方が配偶者ビザ申請を何度もする事は通常想定されません。 国際業務専門の行政書士に依頼する事の優位性は,この経験値の高さにあると思います。 入管のホームページに列記してある書面をただ添付するだけであったり,前提の異なる情報をインターネットで参考にするのは,見るべきポイントが抜けており考慮すべき事項が考慮されていないなど,かえって不許可のリスクが伴ってしまう危険性もあります。 配偶者ビザの審査ポイントを予め知り,それらを踏まえた上で,実際の申請を行う事は極めて重要です。 5.配偶者ビザの申請が不許可になってしまったら… 残念ながら配偶者ビザが不許可になってしまった場合,最初に行っていただきたいのは入管からの不許可理由の聴取です。これは実際に,当社でも行っている方法です。配偶者ビザの不許可理由の聴取は,リカバー申請のためにとても重要な業務の一つです。 入管に不許可理由を聞きにいく際には,以下の資料を持参してください。 ※本人確認の必要性等から,電話での不許可理由説明は行っておりません。 ①不交付(不許可)の通知書 ②身分証明書(日本人は運転免許証や住基カード,外国人は在留カード,パスポートなど) なお,入管の開庁時間は,午前9時から午後4時までとなっております。不許可理由の聴取については,基本的に予約は不要ですが,詳細は管轄入管にお問い合わせ下さい。 6.入管は不許可理由を全て教えてくれる? 入国・在留に係る処分にあたっての留意事項について(法務省管在5964号・平成16年10月1日)という通達を一部抜粋します。 「不利益処分を行うに当たっては,法令の定めるいずれの要件に適合しないかを明示しなければならない。」 上記の通達もあり,入管は不許可の理由の説明を行ってくれます。また,質問や疑問についても回答をしてくれますので,疑問があれば直接審査官に質問することもできます。…

【解決事例】配偶者ビザと収入の関係

1.なぜ収入を入管へ報告しなければならないのか? なぜ配偶者ビザを申請する際に,所得などを出入国在留管理局に報告しなければならないのでしょうか。 配偶者ビザの審査においては,①夫婦が日本で生活していく上で安定した経済基盤があるかどうか,②結婚が真実婚であるかどうかという2点が重点的に審査されます。 そして,①の確認資料として,所得課税証明書及び納税証明書が求められることになります。仮に,安定的な所得がない場合には,配偶者ビザは不利益に判断されることになります。また,納税義務を果たしていなければ,安定的な生活が見込めないと評価され,配偶者ビザの審査で不利益に判断されてしまうことになるのです。 2.“経済基盤”とはどういう意味か? さて,ご夫婦が日本で生活していく上で安定的な経済基盤を有している必要があるとご説明しましたが,そもそも“経済基盤”とはどういう意味でしょうか。 最もポピュラーな安定的な収入の例をあげると,毎月のお給料が該当します。比較として,安定的な所得はなくても,相当の個人資産を有している場合はどうでしょうか。 具体的にいうと,無職で収入は一切ないものの,1000万円の貯金を持っている方と,月収20万円の安定収入があるものの貯金が無い方,どちらの方が経済的に安定しているといえるでしょうか。 答えは,後者の方が圧倒的に配偶者ビザはおりやすいと考えられます。 なぜこのような回答になるのかというと,現金は高度な流通性があり,配偶者ビザの申請段階で預貯金を有していたとしても,その後の事情変化で経済基盤を喪失することも考えられます。また,過去には一時的にお金を借りて自らの口座に入れ,自分の資産であるかのように見せる不正があったことからも,預貯金への信用性は高くないと考えられています。 そのため,現在の入管実務では,預貯金が多くあるからといって,配偶者ビザが取得できるとは限りませんので,ご注意下さい。 3.経済基盤がないと配偶者ビザは許可されない? では,十分な収入がなければ,“経済基盤がない”という理由で配偶者ビザは許可されないのでしょうか。 答えはNOです。 たとえ十分な安定収入がなくとも,配偶者ビザはおりる可能性があります。どういうことかと言えば,たとえ経済基盤が不十分であったとしても,日本における安定した婚姻生活を支えうる他の要素があれば,配偶者ビザは認められる可能性はあるのです。例えば,会社を経営しているご両親が夫婦の生活を支えるという事情があったりすると,日本人配偶者自身の収入が不十分でもビザが認められているケースはあります。 そのため,“安定所得がない=配偶者ビザ不許可”ではなく,婚姻生活を維持,継続できるだけの経済的基盤の材料を拾い上げ,立証することが配偶者ビザ申請では重要となってきます。 4.申告を甘く見てはいけません! 個人事業主の方や給与所得以外の収入源がある方は,毎年確定申告をしなければなりません。面倒な作業と感じられる方も多いのではないでしょうか。しかし,面倒を優先し,適当に申告した結果,配偶者ビザが不許可になったり,配偶者ビザの更新時に問題になったり,永住許可申請が不許可になるケースがあります。 例えば,配偶者を無職と申告しているにもかかわらず,配偶者控除が外れていた場合,配偶者の方が実は別居していて就労しているのではないか,つまり婚姻の実体に嫌疑を抱かれる一要因になったりします。 多めに税金を払っているのだから問題ない!と考えられる方もおられますが,一見関係がないと思われる配偶者控除から,審査の雲行きが怪しくなることもありますので注意が必要です。 他にも,ご夫婦ともフルタイムで働いているにも関わらず,配偶者を扶養に入れていたり,お子様をご夫婦両方の扶養に入れていたりすると,配偶者ビザの更新の際に問題になったり,永住申請が不許可となる事例が散見されます。 配偶者ビザにおいて,所得申告は非常に重要です。そのため,所得の申告をされる際は,しっかりと間違いのないことを心掛けてください。また,誤った申告をしているのであれば,修正申告をするなどし,正しい情報を入管へ提出することが肝要です。 5.おわりに 今回は,配偶者ビザと収入の関係を見てきました。 出入国在留管理局における審査は書面審査です。そのため,経済基盤を明らかにするためには,安定した婚姻生活を送れるだけの収入を書面で立証していく必要がございます。 出入国在留管理局に提出する書類の立証責任は,申請人側にあります。言い換えれば,自分たちが日本で安定した婚姻生活を継続することができるという事を,自分たちで証明する必要があります。 十分な収入があることを所得課税証明と納税証明で証明できる方は,特に問題がないのかもしれません。ですが,若いお二人が国際結婚され配偶者ビザを申請する場合,収入が少ないケースも見られます。 収入が不十分であれば,婚姻生活の安定性や継続性を裏付ける他の要素を証明する書面を準備し,戦略をしっかりと立てた上で配偶者ビザの申請に臨まなければなりません。 今回のご相談では,Jさんが出向していたという事もあり,所得課税証明書を取得できませんでした。そのため,帰国されてからの給料支払いの見込証明書や在職証明書をご準備していただきました。 その結果,無事にCさんの配偶者ビザの許可を取得することが出来ました。 収入が少ないからといって諦めるのではなく,解決策を模索するためにも,お困りの際は当社までお気軽にご相談ください。…

【解決事例】二重国籍者(重国籍者)との国際結婚手続き

1.国際結婚の要件はどの国の法律で判断すればよい? 法の適用に関する通則法第38条第1項本文には,次のような規定があります。 「当事者が二以上の国籍を有する場合には,その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を,その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。」 上記の内容を簡単にまとめると, ①国籍を有する国のうちに常居所がある場合は,常居所地の法律で本国法を判断する。 ②上記①がない時には,密接関連性を基準として本国法の判断をする。 したがって,どの国のパスポートで入国したのかを基準とする役所の回答は誤りです。 まずは,常居所地を基準に判断してください(なお,常居所とは,一般に人が相当期間居住することが明らかな地をいいます。)。 2.1の常居所地の判断は難しくない ①の常居所地の判断にあっては,基本的には居住している国から発行される居住証明書(日本でいう住民票と考えてください。)の有無によって判断することになります。居住証明書が取得できれば,その国が常居所地と判断してもらって差し支えありません。 しかし,複数の国から居住証明書の発行があった場合や居住証明書をどの国からも取得できない場合には,少し判断が複雑になってしまいます。 このような場合は,上記②の密接関連地を基準として,国際結婚の要件を判断することになります。 3.2の密接関連地は婚姻要件具備証明書が鍵になる!? では,②の密接関連地はどのような基準で判断をするのでしょうか。 多くの国において,国際結婚手続きを行うにあたり,婚姻要件具備証明書という書面の発行を求めることができます。 簡単にご説明をすると婚姻要件具備証明書とは,外国人の方が本国の法律に従って結婚できる条件を満たしていることを明らかにした公的な文書です。 密接関連地の判断基準は,この婚姻要件具備証明書の発行を基準としています。 すなわち,婚姻要件具備証明書を発行した国に密接関連性があると判断し,その国の法律に従って国際結婚の要件判断を行うことになります。 4.婚姻要件具備証明書が取得できない場合には? 問題となるのは,②のケースで婚姻要件具備証明書の発行をいずれの国からも受けられなかったケースです。 このような場合には,密接関連地の判断は総合的に行うことになります。 例えば,実際はどの国に住んでいるかという点や親族がどの国に居るか等を総合的に考慮して判断していくことになります。 この段階までいくと,市区町村役場のみで重国籍者の本国法を判断するのは困難となることから,法務局に受理照会(※1)を行い,密接関連地を認定するのが通常です。 ※1 受理照会とは,市区町村役場で届出を受理するにあたって内容に疑義が生じた場合,その届出を受理してよいかを管轄法務局に助言を求めることをいいます。 5.二重国籍者(重国籍者)との国際結婚手続きで注意することは? 二重国籍者(重国籍者)との国際結婚手続きについて,よくご質問をいただく事項があります。それは,仮に特に役所から指摘を受けなかった場合には,単一国籍者として国際結婚手続きをしても問題ないか,というご質問です。 日本の市区町村役場では,提出された書面のみをもとに審査を行う形式的審査主義が採用されています。そして,結婚手続きに添付した書類や婚姻届に記載した内容から,一つの国籍のみが示されており,疑義が生じていないケースでは,単一国籍者として扱ってよいと基本通達が出されています。 上記の基本通達から市区町村役場では,提出書面から二重国籍であることが判明しなければ,単一国籍者と扱うことになります。 したがって,国際結婚手続きをする外国人が二重国籍の場合には,本来は自ら二重国籍であることを明らかにする必要がありますが,二重国籍であることを市区町村役場の職員には告げず,単一国籍者として国際結婚手続きをする方が多数おられるのが現状のようです。 しかし,二重国籍者(重国籍者)として国際結婚手続きを行わないと,後に問題となるケースがあります。例えば,それぞれの国によって婚姻状況が異なる(一方では既婚,一方では未婚)ことから,相続やお子様の出生時に様々な弊害が生じることが考えられます。 後に巻き戻して手続きをやり直すことは,時間も労力も相当掛かってしまいます。 そのため,役所から指摘がないからといって,単一国籍者として国際結婚手続きをするのではなく,ご自身の将来のために,法に沿った適切な手続きを執るようにしてください。 6.今回の事例について 今回の事例は,普段はモルドバ共和国に住んでいる方が,ルーマニアが査証免除国(※2)であったため,ルーマニア人として短期ビザで入国していたところ,相談した役所からルーマニア人として結婚するように指導を受けました。 しかし,正しくは上記のとおり,まずは常居所地を検討し,この方の本国法を判断しなければなりません。 今回の事例においては,モルドバ共和国から居住証明書の発行を受ける事が出来ましたので,国際結婚の要件はモルドバ共和国の法律で判断し,加えてルーマニア国籍を有していることの証明書を添付することで,適切な手続きが完了しました。 ※2 査証免除国については,外務省のホームページをご参照下さい。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tanki/novisa.html