松原 桃子

帰化許可申請の面接について

本ページでは,帰化許可申請の面接について説明をしていきます。

1.帰化許可申請の面接を行うまでの流れ

Ⅰ.担当官の決定

管轄法務局にて帰化許可申請を行い,法務局にて書類を受理後,数週間で申請者ごとに担当官が決定されます。帰化許可申請においては,この担当官が書類内容を精査し,申請人の状況と書類の整合性をチェックします。

Ⅱ.法務局担当官との面接日程調整

帰化許可申請を行ってから,3ヶ月程度で担当官から申請人へ面接の連絡があります。面接日程は申請人の融通を聞いてくれるケースが多いので,無理のない日程で予約しましょう。ただし,担当官を長く待たせ過ぎると,審査日程に影響を及ぼす可能性がありますので,なるべく早めに面接日を決めましょう。

面接は,15歳以上の申請人全員が受けることになります。平日に行われますので,勤務先との調整や,お子様の通学先の行事日程も確認しておきましょう。

また,面接の連絡と同時に追加提出の書類を求められることもあります。

2.帰化許可申請の面接でよくある質問事項

面接で質問される事項は公表されておらず,実のところ明確に決まっている質問事項はありません。申請人それぞれによって状況が異なるため,担当官は各申請人に合わせた質問をするからです。また,担当官独自の判断だけではなく,各都道府県の法務局本局や法務省本庁の審査部門から確認内容の指示を受けて質問をする場合もあります。
そのため,面接が30分以内で終わる方もいれば,2時間以上かかる方もいらっしゃいます。

以下では,これまでの案件で多くあった質問事項をご紹介しますので,参考にしてください。

a.申請内容の記載事項の確認に関する質問

帰化申請の際に提出した申請書の内容について,担当官から質問を受けることがあります。

≪よくある質問事項≫
・来日の経緯
・日本に居住する意思の確認
・日本国籍を取得する理由
・日本人と結婚されている場合,配偶者との結婚に至るまでの経緯
・両親や親族との身分関係に関すること
・家族以外の同居人がいる場合,その同居人との関係性や収入
・過去に違法行為があればその経緯

b.生計状況に関する質問

申請人に応じて状況は異なりますが,申請人の生計の状況は厳格に審査され,面接においても詳細な質問がされています。また,適正に税金を納めているかどうかや,公的年金の保険料を納付しているかどうかも厳格に審査されます。そのため,納税意思や将来に向かっての年金保険料の納付意思も確認されることがあります。

≪よくある質問事項≫
・来日後の仕事の転職時期
・現在の仕事の内容
・現在の家計の支出状況(貯金や借金)や今後の見込み
・税金の支払状況および公的年金の加入状況

c.日本語能力の確認

これから日本人として生活をしていく上で,日本語の読み書きや日本語を話せることが必要になってきます。そのため,担当官は面接での受け答えから申請人の日本語能力の審査も行っています。一般的には小学校3年生レベルの日本語能力が必要とされています。簡単なペーパー試験を受けることもありますので,自信のない方は事前に勉強しておきましょう。

【面接でのポイント】
担当官との面接を行う上で,大切なポイントがあります。
それは,帰化許可申請で提出した申請書の内容と面接で答える内容に相違が無いかどうかです。申請人が面接の際に嘘をつくつもりが無くても,緊張や不安から間違ったことを言ってしまうこともあります。落ち着いて受け答えするように心がけてください。
当社では,少しでも自信を持って面接に臨んでもらえるように,事前に想定される質問を幾つかさせていただき,予習をしてもらいます。申請の不安を取り除くことも,専門士業の大切な役割と捉えています。

Ⅲ.面接実施

法務局担当官との面接は,申請人本人のみで受けることが原則とされています。
一方で,配偶者や同棲されている方など,申請者の生計や身分関係に大きく関わる人も一緒に同行するように求められるケースもあります。
当日の服装は基本的に自由です。私服でも問題ありません。しかし,見た目が印象を大きく左右するのも事実です。審査官の心象を悪くするような派手な服装やラフすぎる服装は避け,なるべく清潔感のある服装を心がけましょう。

3.まとめ

帰化の審査は基本的には書類審査ですが,担当官との面接内容も審査資料の一部になります。当社では,申請書類の作成に留まらず,担当官による面接において想定される質問内容や帰化面接における注意点を,お客様にご説明しております。
面接で失敗しないように,事前に十分な準備をして臨むようにしましょう。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

松原 桃子

・令和元年度行政書士試験合格
兵庫県出身。大阪オフィスに所属し,日本国籍を取得するための帰化許可申請業務を専門としている。

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